2014年12月29日月曜日

SSH 台湾科学研修 2014

SSH 台湾科学研修結団式 2014.12.24

SSHの取り組みとして、昨年に引き続き台湾科学研修を実施します。この日の4限終了後に、研修参加生徒8名と関係教員、校長先生が参加しての結団式が開催されました。台湾での注意事項や、スケジュールの確認、研究発表に対するアドバイスなどを聞きました。

 台湾研修に行く前の事前学習の様子

注意事項などを話される校長先生

<研修内容>
12月25日(木)
台北着
台北市立成功高級中学訪問(昆虫科学博物館訪問)
台中へ

12月26日(金)
国立自然科学博物館訪問・研修
国立中科実験高級中学訪問(研究発表・実験)
ホームステイ(中科実験高級中学の生徒宅)

12月27日(土)
車籠埔断層保存館訪問・研修
国立台湾大学溪頭実験林場訪問・研修

12月28日(日)
野鳥観察
国立台湾大学溪頭実験林場研修
関西国際空港へ


SSH 台湾科学研修 1日目 2014.12.25

8時に関西国際空港に参加者全員が集合し、予定通りの12時30分に桃園国際空港に到着しました。この時期の台湾は雨の日が多く、昨年と同様に私たちが到着したときも雨が降っていました。ガイドさんの誘導により、すぐに専用バスに乗って台北へ向かい、成功高級中学の中にある昆虫科学博物館を見学しました。

桃園国際空港に到着。台湾での4日間の移動はこの専用バスで移動します。

成功高級中学に到着



成功高級中学は、その前身の学校が1922年創立という伝統ある学校です。その中にある昆虫科学博物館は、その学校の卒業生であり教員をしていらした陳先生が設立しました。見学の前に陳先生が講義をしてくださいました。

講義の様子

何事もただ観察するのではなく、疑問を持ち、何故そうなったのかということに仮説を立て、実際に検証してみることが大事であると陳先生は話されました。本物の蝶か偽物か、これは生きているかそうではないか、などを生徒たちに問いかけ、その蝶の羽のつくりや動きを観察し、考察しました。

実際に蝶の羽を手に取り観察します

その後は博物館の中を見学しました。標本の数、種類に私たちは圧倒されました。

 ヘビをつかんでいる生徒

 講義の様子

昆虫の体の構造について学んでいる様子

標本総数は約3万点、標本の種類は約5000種なそうです。


その後、新幹線で台中に向かい、レストランで夕食を済ましホテルに到着しました。




SSH 台湾科学研修 2日目 2014.12.26

2日目はまず、国立自然科学博物館で研修を行いました。規模がとても大きく、科学センターや人類文化ホール、植物園などの六大エリアをもつ複合施設であり、毎年約50万人以上の学生に利用されているみたいです。
国立自然科学博物館に到着

4万年前に絶滅した実物大の象の標本
中国大陸に生息していたことから、台湾が中国大陸の一部であったことが推測できます

説明は中国語なので、ガイドさんに翻訳していただいています

 漢方薬などに使われる様々な薬草

 亜熱帯気候の植物について学びます

これはゴムの木で、この木からとれる樹液を加工してゴムになります


その後、昼食をとり、国立中科実験高級中学を訪問しました。広大な敷地で、ホールやスポーツ施設などがとても充実していました。
高校に到着後、すぐに向こうの生徒による歓迎会が始まりました。

中科実験高級中学の生徒による演奏


歓迎会が終わると、いよいよ研究発表です。中華実験高級中学の生徒の研究発表を聞き、その後に千里高校の研究発表を行いました。研究発表の内容は、2年生の科学探究の授業で行っているもので、テーマは「Reaction of Formic Acid and Fehling's Solution」です。

研究発表はすべて英語でスピーチします

発表後、実験室に移動して共同実験を行いました。実験のテーマはスターリングエンジンを作るというものでした。スターリングエンジンとは、空気を加熱、冷却しそれを繰り返すことで空気の体積を変化させ物体を動かすというものです。

スターリングエンジンのしくみについて、中華実験高級中学の生徒が説明してくれます。

実際にスターリングエンジンを作ります

 共同作業の様子

うまくできたみたいです

実験が終わると、千里高校の生徒たちは中科実験高級中学の生徒の家にホームステイをさせてもらいます。

ホームステイ先の人が車で迎えに来てくれました



SSH 台湾科学研修 3日目 2014.12.27

中科実験高級中学で歓送会があり、その後私たちは車籠埔断層保存館を訪問しました。

 歓送会の様子

みんなで記念写真

車籠埔断層保存館に到着

この地域で1999年にマグニチュード7.3の大地震が発生しました。この大地震を引き起こしたのが「車籠埔断層」です。台湾中部には、南北に96km伸びる1本の地表破砕帯が存在し、車籠埔断層の度重なる活動によりこのような地震が起こりました。この断層が地表に断裂した長さや、垂直落差の高さなど、いずれも世界には珍しい地質の景観ということで車籠埔断層保存館が設立されました。

研修の様子
断層から過去にどのくらいの周期で地震が起こったかを調べ、地震を予知することもできます。
大地震により崩れた建物



その後、バスで移動し、土石流が起こった跡地を見学しました。現在は上空から地形を調べ、被害を少なくできるように土石流を誘導することに取り組んでいるみたいです。


土石流で大きな石の周りは土が流れてなくなっています

記念撮影

研修を終えて、次は台湾のお茶文化について学びます。茶葉を育てるところからお茶作りの工程を学び、実際にお茶を入れてみます。


お茶を習った方法でいれてみます

国立台湾大学溪頭実験林場に移動し、この日はここで宿泊します。その後に予定していた星空観察は、雨が止まず見ることができないため残念ながら中止になりました。





SSH 台湾科学研修 4日目 2014.12.28

この日は7時に起きて、野鳥観察をしました。この溪頭実験林場は、海抜分布の高低差は3700mであり、亜熱帯から冷帯までの気候を網羅しています。そのため、多様な森林体系が分布し、それぞれに異なった生態系の特徴があります。多くの野鳥が生息しており、約100種類の野鳥を観察することができます。
ガイドさんに双眼鏡の使い方や、野鳥を観察するときの注意を話していただきます


バードウォッチングの様子

撮影した野鳥

撮影した野鳥

その後朝食を食べ、大学の教授から溪頭の植物や動物の生態について学びます。

日本にはいない危険な生物もたくさん生息します

その後、実際に森林の中に入り、生態系を観察します。


 湿度が高く、霧が濃い
特に竹でできた建物や橋は、高い湿度により腐りやすいため、何度か作り直しているみたいです

 樹齢1800年のヒノキで、神木といわれている
木の周囲は5.5m、高さは46mにもなります

スギの葉は日本のものと比べ硬い
味は日本の方が塩っぽく、台湾のスギは甘い

この研修後、溪頭実験林場を出発し、桃園国際空港に向かいました。








2014年12月22日月曜日

高校生科学技術チャレンジ(JSEC 2014)特別協賛社賞・富士通賞受賞 2014.12.14


 千里高校理科研究部の3年生2名の研究「亜硝酸ナトリウムを用いた大気中のオゾン濃度測定」が,特別協賛社賞・富士通賞を受賞しました。

 光化学スモッグを引き起こすオゾンの大気中での濃度を簡単に測定する方法を開発しました。亜硝酸ナトリウムを染み込ませたパッシブサンプラーを野外に固定して、大気中のオゾンと反応させます。どの程度反応したのかは、未反応の亜硝酸ナトリウムに発色試薬を加えることで色の濃さとして表しました。この実験結果を自治体が公表している値と比較すると両者は直線関係にありました。
 また、紙コップを用いた簡易的な装置で大阪府北部の39地点で同時にオゾン濃度を測定し、オゾンマップを作成しました。
 なお,2015年5月にアメリカ・ピッツバーグで開催される「インテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)2015」に日本代表として出場します。
 千里高校理科研究部の日本代表・国際大会出場は,昨年に引き続き2年連続,またISEF出場は初めてです。


研究生徒・特別協賛社富士通様・指導教員