2011年7月11日月曜日

「物理チャレンジ2011」に challenge !!

 総合科学科2年生の必修科目「科学探究」の物理班23名は,「第7回全国物理コンテスト・物理チャレンジ2011」の第1チャレンジ・実験課題「大気圧を測ってみよう」に取りくみました。

 最初に手がけたのは有名な「トリチェリーの実験」です。トリチェリーは水銀を用いて大気圧を測定しました。しかし,今回は有毒な水銀を用いることを禁止されました。

 そこで,水銀の代わりに水を用いて大気圧を測定することにチャレンジしました。水銀は1気圧のもとでガラス管に満たして立てると,約76 cmの高さに上ります。水の密度は水銀の約13.6分の1しかないために,計算上この高さは10.33 mになります。校舎が3階までしかない千里高校では,屋上にまで達する高さです。階段が無く,外壁にある梯子を上るのが唯一の手段です。屋上には柵も有りません。危険で生徒に上らせることはできません。しかし幸運にも,新館は4階建てであることに気がつきました。ヨーロッパの呼び方に従うと,地上階(ground floor)1階(first floor)・・・3階(third floor)なのです。3階の窓から地面までの高さを測ると約11 mでした。安全に実験ができる場所が見つかりました。


 次に長さ23 mのビニールホースを準備しました。水道の蛇口から水を満たし,気泡をできる限り追い出してから,ホースの中央を3階の窓から垂らしたロープで引き上げてホース上部の水面までの高さを巻き尺で測りました。初めは10 mを超えていたのですが,どんどん下がり始め,10 mを切ってしまいました。よく見ると気泡が発生し続けて止まりません。この気体が水面を押し下げていたのです。これでは大気圧の測定はできません。水面上部の空間は真空である必要があります。初めに取り除けなかった気泡の他に,水柱上部は圧力が低くて水に溶けていた気体(主に二酸化炭素)が溶けきれなくなって気泡になった(ヘンリーの法則),気圧が低くなって水の沸点下がったために沸騰が始まったと考えられます。そこで水の表面に油を浮かべ,気泡が上部に上るのを防ぐ対策を取って実験をしました。これは効果があったようで,水柱は以前より高い10 mを超える高さまで上っているのが確認できました。

 二番目に取り組んだのは,吸盤を引き剥がすのに要する力を測定し,そのときの吸盤の面積で割って大気圧を求める方法です。初めはばねばかり2本でその力を測定しましたが,剥がれる直前の力の大きさを目盛りで読むのは困難で,正確さにも欠けるものでした。そこで,薬缶に水を加え続けて吸盤が剥がれる直前の重さを測ることにしました。吸盤の面積は,上からカメラで動画を撮影して剥がれる直前の吸盤の直径を測ることによって求めました。 これもかなりよい値を得られました。


「物理チャレンジ2011」に参加するためには登録が必要です。今年は2名が登録し,実験レポートを送りました。6月19日(日)には「理論問題コンテスト」が大阪大学他の会場で一斉に行われました。こちらには1名が参加しました。全国から70名が選ばれて,7月31日から筑波大学で行われる「第2チャレンジ」には残念ながら進めませんでした。